掲示板のすみっこで
見られたことに対して不機嫌になったのか開き直ったようにガン飛ばされる
そんな状況だからこそ、これ以上煽るのは身の安全が保障されかねないとわかってる。わかっていたのに…
「待ち受けっていうのは……」
沈黙に耐え切れなくてつい口に出してしまった。橋本くんの真一文字の口の力が弱まる
「…彼女が、待ち受けにしてほしいって…言うから……」
手元の携帯電話は持ち主に戻り、見せてもらったのは、さっきのプリクラより大きさ的にも画質的にも見やすい橋本くんと彼女のツーショットだった
「…かわいい、」
くっきりキレイに映ってわかる彼女のかわいらしさ。ストレートの黒髪で着崩していない制服、真面目そうで、でもかわいい
「でしょ!」
褒められて橋本くんは嬉しそうに頷く
「かわいいんすよ、倉持は。それだけじゃなくて周りに気遣えて、優しくてほんとに……」
このまま饒舌に語っていくのかと思ったら突然止まった。慌てて口を噤(つぐ)む
「どうしたの」と聞くと「いや、ちょっと…」なんて言いながら閉じた携帯電話
「プリクラ張ったりしてるだけでもあれなのに、こんな話始めたら俺、気持ち悪いっすよね」
自嘲気味に笑う。それは自分で自分を抑制しようというのがよくわかる
「いいんじゃない。橋本くんがそれだけ倉持さん…だったかな?彼女のこと、好きなんだから」
そんなに気にしなくてもさ
俺の一言一言に耳を傾ける橋本くん。やれば出来る子な彼だから、きっとわかってくれるはず
「ありがとう、ございます…」
二回目に聞いた彼からの感謝の言葉はアルバイトとは関係ない内容だったけど、また彼に近づけたのは大きかったと思う
そう、彼女がいたという事実を知ったことも含めて
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