掲示板のすみっこで





「橋本くんっ!」


俺とは違って軽い会釈程度の挨拶しかしない橋本くんは、俺が姿勢を戻した時にはすぐ後ろの壁によっ掛かって退屈そうに欠伸をしていた




二週間前に入ってきた高校生一年生の新人:橋本くんは二歳しか違わないと感じさせない長身と今時っぽい茶髪にピアス

自分が出来る限り関わらないように避けてきた、所謂目立つグループに属しているような子、バイト先に面接に来た時点で近づかずに済みますようにと願いながら、心掛けていた

にも関わらず一体何を間違ったのか、俺は店長に彼の指導係に指名されてしまった



そんなわけで今、背の高い彼に合わせるように顔を上げながら、さっきの接客に対しての問題点を指摘しなければいけない!



「…何すか?」


豪快に口を開きながら背筋を伸ばす橋本くんは、さっきチンピラ風お客様を睨んだように俺を見下ろした


気合いが萎縮して、一瞬頭の中が真っ白になる




「あ、あの…さっきのこと…なんだけど」

「………」

「りょ、領収書の場所が、わからなかっただけ、なんだよね…?」


瞳の奥に垣間見える気怠さと嫌悪感に怯みそうになりながら、そうだよね?と確認の意味を込めて尋ねても無反応


「もし、それを、無視したらお客様はお叱りになられたのは…わかるよね?……だから、今度からそうなる前に、俺を…呼んでほしい…んだ………いい?」



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