掲示板のすみっこで


語尾の方は自信の無さから小声になっていく、しどろもどろになりながら言い終えても反応は返ってこない


空調の音だけが虚しく響く店内に、不穏な空気が漂う



……わかってくれたのかな、





「あのさ」

「っ、な、なななに?」


不安になって顔色を窺っても変化という変化は見られない。油断しきった瞬間に声を掛けられて声が裏返る



「…橋本、くん?ど、どうしたの」

「あれ、あのまんまでいーんすか?」


指差す方を見ると、チンピラ風お客様に話し掛けられて中断した陳列中のガムが床に散らばっている

箱もさっきと同様に隅っこへと転がったまま


「あっ、そうだ、途中だった……あの、じゃあちょっと続きやってくるから、橋本くんは」

「……レジにいたらいいんすよね」

「う、うん。あとさっきの話だけど、何かありそうだったら早めに声掛けてね」

「………」



橋本くんから返事はなかった


床に転がったのを拾い、またお菓子売り場の前にしゃがんでちらっとレジを見る。さっきと変わらないやる気の無さを露呈する橋本くんに、今後の接し方の不安はますます渦巻いていく



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