掲示板のすみっこで


「…それからずっと気になってて」

「へぇ、そうなんだ」


バイトの休憩中、橋本くんが話してくれたのは倉持さんを好きになったきっかけ

同じクラスでもタイプの違う二人は話すことがなかったけど、ある日、学校で携帯電話を無くした橋本くんは放課後に一人で探していた

机や鞄を漁っていた時、委員会の集まりが終わった倉持さんが一緒に探すよと手伝ってくれることになった


「優しいって言ってたからね」

「…はい、それまでは何ともなかったはずなのに意識して……で、倉持もそういう風に思ってくれてたのか……」

「バレンタインデーに告白された、だよね?」

小さく頷いた顔から笑みが零れる

「あ、でも想いは同じですから!」

てっきりまた照れて誤魔化すのかと思いきやそう言い切った


「告白される前から、俺も気になってたんすから」

「橋本くん…?」

顔をしかめながら、何か苦悩するように表情が暗くなり、手の平は固く拳を作る

さっきまでとは空気も一変してしまったように重くなる。何か言うべき言葉が見つかる前に聞かれた



「告白……桑井さんは、告白したことあるんすか?」


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