掲示板のすみっこで



「もう、どうするのよ。メールに気づかないなんて、何の為の携帯電話よ。これじゃあ、麻婆豆腐が作れないじゃない。麻婆だけになっちゃうじゃないの…」


ぶつぶつと、意味のわからない言葉と共に責め立てられ、居た堪れなくなり、上げた腰をまた戻す



わかった。すぐに買いに行ってきます



そう言うことが、今の空気を穏無事にするための解決策。少しでも早く温順にしよう。靴に足を差し入れようとした時、


「…はぁ、もう、いいわ。寒いけどお母さんがぱっぱと買ってくるから、留守番お願いね」




言うが早い。母さんは上着を羽織って家を飛び出していった


玄関先に取り残された俺の耳にはドアの鍵が閉められる音、門が立てる音が届いて、やがて消えた





慌てて出掛けて点けたままだったリビングの電気を消して、自室がある2階へと足を運ぶ


中に入り、男子学生にしてもシンプルだろう部屋を眺める。そこはいつも通りの白が基調となった室内。鞄を床に置き、ベッドに座ると母さんと揉める原因になった携帯電話の電源を入れる



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