わたしがお母さんになった日 ~16歳の妊娠~
目の前でバスが停車し、ドアが開いた。


晃司くんの目が、不安げにわたしを見つめる。


晃司くんの手がわたしの手をぎゅっと握る。


握られた手から、晃司くんの気持ちが痛いほど伝わってくる。



晃司くんは心配している・・・。


わたしが両親のもとに帰ってしまうのではないかと・・・。





「ごめんなさい。」

わたしは両親に頭を下げた。

「わたし・・・、どうしても赤ちゃん産みたいの・・・。晃司くんと一緒に赤ちゃんを育てたいの・・・。だから、ごめんなさい・・・。わたし、行くから・・・。」



わたしはお母さんの手を振り払い、晃司くんと一緒にバスに乗ろうとした。


けれどもお母さんの手が、再びわたしを引き止めた。



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