わたしがお母さんになった日 ~16歳の妊娠~
「そこまで言うなら、そうしなさい・・・!」

お母さんは涙声で言った。

「赤ちゃんを産みなさい・・・。赤ちゃんをあなたたちで育てなさい・・・。」



「えっ、いいの・・・?」

わたしは驚いて、お母さんを見つめた。



「由衣が妊娠したのは、わたしたち親の責任でもあると思う。わたしは母親として、娘に妊娠や避妊のことを、ちゃんと教えてこなかったんだもの・・・。

娘が年頃になって、彼氏ができたことを知ってたのに・・・。余計なことを教えたらいけないって、そう思い込んでたの・・・。

由衣のことを、いつまでも子供扱いしてた・・・。心も体も、いつまでも子供じゃないってことは、考えてみたら分かるはずなのに・・・。」


それからお母さんは、わたしの目を見つめてこうつづけた。


「でも赤ちゃんを産んで育てるのなら、一つだけ約束して。どんなに子育てが大変でも、絶対に赤ちゃんを投げ出したりしないって。

赤ちゃんが生まれたら、あなたは母親になるの。母親として、赤ちゃんを一人の人間として育てていく責任が生まれることになるの。

その責任は、ものすごく大きな大きな責任なの。由衣は、その責任を背負う自信がある?赤ちゃんを育て上げるって、約束できる?」



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