失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
きっかけは
実家の調査を終えた
興信所の調査員を案内して
兄のアパートに行ったことだった
依頼してすぐ興信所の調査員から
僕たち家族は失踪者捜索の注意を
詳しく聞かされた
キャッシュカードや
現金を持って行ったかどうか
部屋の中で何がなくなっていて
何が残っているか
そして手がかりになるので
ゴミは絶対に捨てないこと
「そしてこれは大事なことですが…
パソコンは絶対に触らないで下さい
特にお宅の息子さんはパソコンから
家出の連絡情報を2件も送ってられ
ます…もしもご家族が疑っていらっ
しゃる通りなんらかの犯罪性がある
としたらパソコンに指紋や不自然な
ファイルの削除など痕跡が残ってい
可能性もあります…」
そうして僕たちは
再び兄のアパートのドアを開いた