失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「PTと仲が良いみたいで良かった
…君はマッチョも好みなのか?」
彼がいつの間にか不機嫌な顔をして
後ろに立っていた
「あ…見てたの?」
僕は不機嫌な彼の顔を見上げた
マッチョの先生は次の患者さんと
話しながらベッドで治療中だった
「病室に戻るぞ」
ますます機嫌が悪くなる彼と一緒に
リハビリ室から病室に戻った
彼は病室のドアを閉め鍵をかけた
僕の身体を立ったまま後ろから抱く
「あ…」
「リハビリがとても楽しそうだ…心
配だな」
いつも彼はふざけてるのかどうか
わからない
「PTの先生はノーマルでしょ」
僕は当たり前のことを言う
「さあな…人の身体を触りたい仕事
なんかに就くヤツは元々エロいんだ
君の身体を楽しそうに触っていた
君がきっかけで両刀に目覚めるかも
な…」
素敵にひどい妄想だ
「誰でも疑わしく見えるんじゃない
の?…疑心暗鬼って言うヤツ?」
彼は苦笑しながら耳元で答えた
「そうだ…みんな疑わしいね」
「んっ…」
「ほら…もうこんなに感じている」
彼は後ろから僕の股間をまさぐった