失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




驚くほど進展しない調査に

父は業を煮やした

依頼の7割は1週間以内に見つかる

そのホームページの内容に

父は期待していた



1ヶ月は仕方ない

では3ヶ月は?

5ヶ月になったら?



心を壊さないで保つために

人はそれぞれ自分のやり方をする



父は3ヶ月で興信所を替えた



警察からも連絡はない





耐えるために

耐えることに耐える…ために




(おれのせいだ)

父の背中からそんな声が

聞こえてくるようで

僕はそれを否定できるのに

父に話しかけられない



たぶん全員が

自分のせいだと思っている

その罪の重さが

互いを引き離す



母を慰める言葉も

父を励ます言葉も

自分を許す言葉も

なにも見つからない日々が

ただ無為に重なっていく



睡眠薬は

もう効かない

医師に増やして貰っても

効かない


実家に帰ったときに

父親の飲んでいる酒瓶を1本

くすねてきた

安い焼酎



そうやって

やっちゃいけないことを

やるようになる



ジャンキーに

まっしぐらに











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