失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「ところでさ…母さんから何聞いた
の?…そもそもさ…なんで話すこと
になったのかなって…」
そんな接点二人にあったかな…と
ちょっと不思議だった
「お前がさ…学校来なくなってから
少しして携帯もつながらなくなった
だろ?」
携帯取られた頃の話だろう
「そんときにな…オレお前の実家に
電話したんだよ…それでお前のお母
さんと話した…帰ったら連絡くれる
って言ってくれてさ…よろしく言わ
れちまった…」
「なに…話したんだ?」
ちょっと気になってヤツに聞いた
「そんな際どいことは言わないって
クスリやってるかもしれないとかさ
変なのと付き合ってるとか…言える
わけないだろ」
「あ…うん」
「それでオレの携帯の番号をお前の
お母さんに教えた…そしたらその後
…電話がきてさ…アパートに帰って
ないみたいだけど居場所知らないか
みたいなこと言われて…オレもちょ
っとマズいんじゃないかって思って
学校来てないみたいですよって教え
た…何を言っていいか悪いかわかん
なくなってさ…正直…オレが警察に
駆け込んでればもっと早くお前が助
かったのかと思うと…自己嫌悪にハ
マる」
「警察沙汰を回避してくれようって
待っててくれたんだろ…僕のこと」
「それは…そうだけどさ…」
「十分だよ…悪かった」
「やっぱりあの茶髪の売人が元凶だ
ったんだろ?」
元凶…
それはもう曖昧だった