失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
本当の元凶は兄貴のことだ
だが親父とも言える
もしくは…神父さん
「それで…おまえ母さんから何をど
こまで聞いたの?」
「ああ…暴力団に監禁されてたって
…覚醒剤も打たれてたみたいだって
あと…殺人事件になりかけたとか…
ちょっとヤバ過ぎて…聞いてて寒気
した…オレがそんなに聞いて良いの
かって逆にオレが訊いたよ…そした
らオレがお前といちばん仲良いのは
知ってるからって…お前が信頼して
た…みたいなこと言われてオレには
お前の現状知っておいて欲しいって
だから…」
「それで…全部?」
「ああ…お前が売人と付き合ってた
こととか言われなかったしな…って
…まだ他にもあるのかよ…もう聞く
勇気ねぇよオレ」
「…母さんがどこまで知ってるのか
僕にはわからないんだ…どんな説明
を警察から受けたのか…まだ知らな
いからさ…おまえに伏せてることも
あるかも知れない」
「いやもういい…とりあえず聞きた
くねぇ…だけどさ…そんなんでお前
ほんとに大丈夫か?…無理してオレ
と話さなくていいからな」
ヤツは本気で心配そうな声を出した