失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
それは父の気持ちのエア・ポケット
というしかない
普段は無口だが
気性の荒い父の激情が
耐えきれずに噴出するのは
確かに時間の問題ではあった
だが僕のたったひとつの安住の場は
一方的に奪われたのだった
僕も
キレた
学校に着くと例の調査員の人から
簡単なメールが来ていた
『本日付けで調査の契約が打ち切りになりましたので、明日の調査の同行のお約束はキャンセルさせて頂きます。今までご協力ありがとうございました。一日でも早い解決をお祈り致しております。』
滅多に言い争いもしない父と僕が
その夜衝突した