失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
彼の言うように
本当にキチガイじみたお人好しなら
僕は救われるのか…?
いや
救われないよ
どうなろうとも
いま僕は救われないんだ
早く兄貴を見つけなければならない
本当にそれしか道がない
彼にも
僕にも
それだけが命綱
病室で着替えベッドで横になる
かなり疲れた
倒れこむように横になり
そのまま掛け布団を抱きしめる
いやだ
自分が嫌いだ
ああ…それなのに身体が火照って
たまらない
身体と心がバラバラで
気持ちも思考も混乱しまくってる
病状に良くないよ…これ
フラッシュバックしそうだ
また自傷したりするのかと思うと
ゾッとする
意味もなく何もかもが怖くなる
激しくなる不安に耐えられず
衝動的にナースコールした
震えながらパニックを訴えた
即座に点滴が始まる
飲み薬より早く効く
パニックの薬と少し強めの眠剤
しばらくしてすぐに意識がなくなる
1日に2回の激しいパニック発作
それでも生きているのが
不思議だ