失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
最初にラッパ飲みした分が
もう効いてきた
少しフラフラしてる
なんか…感覚が鈍い
思考が緩くなってる
兄がいなくなって初めて
思考の堂々巡りが
緩慢になったみたいだった
酒…すげぇな
みんながこれを有史以前から
愛好してやまないのをいま
理解した…
なんか笑えてくる
「クックック…」
独りで笑ってる…
「あっは…」
床に倒れて笑った
なんで笑ってるんだろ
こんなに簡単に頭が飛んで?
目が回ってる
「あははは…あは…あはは…」
不意に悲しくなった
声を上げて泣いた
「兄貴…あ…にき…どこ…いるんだ
よ…どこに…どこ…に…」
ひとりでつぶやいてた
だれもいない部屋で