失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
これが僕が自分を追い詰めて
自傷する理由
最初に兄貴の前で手首を切ったのも
すべての努力が無に帰したから
生きていけない
でもそれは僕だけの秘密
僕は必死にいい人であろうとする
でもそれはあの人に勝つための手段
小さな僕が必死に考えた方法
でも誰にも言えない
そんなこと
僕自身にさえ秘密の僕自身
でもバレちゃった
不思議なんだ
バレても彼は僕を見捨てない
小さな僕は驚いてる
みんな僕より
優しいってことに
そして僕は
(ごめんね…もうやめよう)
(大丈夫?)
(うん…大丈夫だ…みんな優しい
だから大丈夫だ)
パニックも治るかも知れないな
そんなことすら
少し感じるくらいに