失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
『待つのはもう辛いので嫌です。クスリが欲しくなります。酒でも良いです。もともと忍耐力ないのに、これ以上どうやったら待つ苦痛に耐えられるのか、教えて欲しいです。1時間待つことに耐えられないことが分かりました。どうやって生きていったらいいんですか?』
こんなこと書くもんじゃない
そう思う頭と手が裏腹に
送信ボタンを押してしまっていた
すぐに返信がきた
震える指でメールを開くと
そこにはこう書いてあった
『今すぐ寮を出て、駅まで歩いて来て下さい。待たせてすみません。北口のターミナルで待ち合わせしましょう。予定変更はこちらから所長に連絡します。OKなら今すぐ返信下さい』
すぐに返信した
『わかりました。ごめんなさい。今からすぐ出ます』