失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
数日後
朝から1本の電話が携帯を鳴らした
警察だった
僕のあの事件での証言で
曖昧だったところをもう一度
確認したいということだった
担当が車で迎えに行くから
1~2時間でそちらに着く
所長には連絡済みだというので
僕は急いで出掛ける準備をした
30分ほどすると
車の音がした
所長が僕の部屋に来た
警察の方が迎えにきてるけど?
僕はすぐ行きます…と答え
玄関に向かった
1~2時間って言ってたのに
ずいぶん早い到着だな
小雨がぱらつく中を
スーツ姿の私服刑事のような人が
僕を車に案内してくれた
車の後部座席を開けてくれて
僕は乗り込んで待っていた
刑事のような人が所長になにか
玄関先で二三言話していたが
所長は急に僕の方に向かって
小走りで近づいてきた