失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「…これ…僕の関わった事件の影響
なんですか?…それとも…」
質問するなと言われたが
こらえきれず僕は刑事に尋ねた
「それは後でね」
刑事に軽くいなされて
僕は事件の質問を断念した
この人が本物の公安警察なのを
ただ祈るばかりだ
もし違ったら…殺されるのかな…?
それともまた監禁?拷問?
本当に彼が僕を保護しようと?
不安と恐怖にうんざりした
もういい
こういうのは
もう勘弁してほしい
僕にも限界がある
いま信じられるものは
彼の仕組んだセーフティネット
…もしそれがあれば…だけど
彼なら僕がこんなことになるのを
予期出来ないわけがない
その防御が発動したんだ
…と思いたい
それで僕は
『非常時の際に母の用いる方法』
を取ることにした
答え:現実逃避
「あの…公安って…普通の警察とど
う違うんですか?」
この質問には答えて欲しいなと
僕は心底願った