失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
刑事さんの語る公安は
いまいちわからないこともあったが
個人的な殺人とか盗みとかじゃない
国家を危険にさらす団体
例えば外国のテロリストやスパイや
国内の反体制的な政治団体とか
あとはカルトな宗教団体とか
そんな団体を見張ったりしている
ということだった
「ことが起きてからでは遅いからね
阻止が最も大事だ…そのためには正
確な情報の入手がとても重要になる
…それは解るだろう?」
「はい…まあ…」
「だが我々の動きを感づかれてはな
らない…誰が公安なのか知られない
ようにする…何を知ったかわからな
いようにする…これらに最大の注意
をはらって捜査が行われてる」
「CIAみたいですね」
「まあ…ある意味似たような部分も
あるね」
「…でも」
「なんだい?」
その話を聞いた最大の感想を述べた
「国家的な危機に僕が関係してると
は思えません」
「私もそう思う」
刑事さんは笑って答えた