失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「ほんとのこと…言おうか」
僕は兄に言った
怒りだった
ボロきれみたいな僕の人生
ほんとじゃない
でもウソでもない
ほんと
「君は構わないの?」
「うん…言わない…つもりだった…
でも…隠せないなら…隠す意味が…
ない」
この自暴自棄を僕は変えられない
責任取るのは神だ
僕じゃない
責任とって下さい
僕はもうとっくに限界を超えてる
「お願い…笑わないで聞いて」
「うん…わかった…約束する」
背中が痺れて口元が震えた
「僕…あなたを愛してた」
そう…本当のことだよ
「じゃあ…やっぱり…君…私の弟じ
ゃ…ないの?」
「弟だよ!」
「え…」
兄は絶句した
「弟だから…ほんとの弟だから黙っ
ていたかったんだ!」
「君……」
「ああ…そうだよ…血のつながった
ほんとの兄弟だよ僕達は…」
兄の驚く顔を僕はじっと見ていた