失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
「あの日…僕にまた来てって言って
くれたのは…あなたが優しいから…
でもあれは僕には社交辞令みたいに
は聞こえなかった…でもそれは僕の
願望だったのかも知れない…あなた
がほんの少しでも僕に…なにか…思
ってくれてるって…そう思いたかっ
ただけ…」
僕は自分がなにを言いたいのか
よくわからなかった
どこに着地するのかも
「…大事な時間…だよねこれからの
一日一日が…だからあなたは…」
そう…言いながらわかってきた
「…あなたはもう誰かに気を遣った
り…誰かの犠牲になったりしないで
欲しい」
僕の悲しみなんか
あなたは気にしちゃダメだ
「あなたの邪魔をしてる…今もこう
やって…あなたの心の平和を壊して
る…それはあなたのためにならない
から」
でもいまそう言える
自由になって…って
なにもかもから
「僕はもう大丈夫だよ…少しは成長
したんだ…それに宿題なんだ…独り
で立つって…だから…」
僕は彼に手を差し出した