失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】




「えっ…そんなふうに思うの?」

彼は驚いたふうな声を出した

「…違うの?」

「もう…来るのがイヤになったのか

って…思ってた」

「なんで…?」

「私がひどいこと言ったから」

「どんなこと?」

「覚えてないの?」

「もしかして…仲良くしても僕を悲

しませるだけ…って言ったこと?」

「そう…最低だ…せっかく会いに来

てくれてるのに」

「僕が…そのあとひどいこと言った

んだ…悪いのは僕だよ」

「いや…余計なこと言って君を怒ら

せたんだ」

「でもあなたは僕のこと気遣ってく

れてたのに」

「間違った気の遣い方だよね…どう

していいか私もちょっと混乱してて

…すぐには自分の気持がわからなか

ったんだ…許して欲しい」

「いいんだ…僕…あのあと色々考え

た…僕も混乱してたから…少しゆっ

くり考えないとさ…頭よくないんだ

よね」

「そうか…」

彼は次の言葉を少しためらっった

「…君…あの…」

「なに?」

僕はドキドキしながら聞き返した








< 459 / 514 >

この作品をシェア

pagetop