失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
その次に男に逢えたとき
僕は泣いた
じらされて
待たされて
ようやく
あの浴室でずぶ濡れになった日の
2日後にそいつは連絡してきて
僕は犬みたいにそれに飛びついて
そんな自分を
もう情けないとは思わなくなって
ただ身体を合わせて
抱かれたくて必死で約束を交わした
「泣いてんのかよ?…お前」
僕は男にしがみついて
嗚咽を漏らした
男はうっすら笑いを浮かべ
僕を壁に押し付け
部屋の中で立ったまま弄んだ
僕は泣きながら男に犯されて
立ったまま何度も絶頂を迎えた
腰が砕けて倒れそうになるのを
男の腰で壁にはりつけにされて
無理やり支えられてる
「また…もっと気持ち良くしてやろ
うか…?」
男はうなじに舌を這わせながら囁く
あれを
あの頭の中が白くなるみたいな
ひとつに溶け合うたまらない感覚を
あれをまたしてくれるの?
「…して…お願い…あれを…して」
男はクックッと笑って僕にキスした
「ああ…たまらないよなぁ…あれ
俺も大好きだ…」
男は僕の耳に口をつけて
責めながら囁いた
「んあ…あ…な…んであんな風に…
なっちゃうの…?」
僕はなぶられてる半身に広がる痺れ
に意識を取られながら
男に尋ねた
「良いだろう?…溶け合うだろ?
お前が俺のペットになれば…あれを
してやる…どうする?」
僕はペットという言葉に喘いだ
「…ペットに…ペットになればいい
の?」
男は僕を後ろ抱きにしたまま
床に押し倒した