失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】
とどめ
しばらくして僕は
兄のアパートにすら
帰れなくなっていた
ホテルの部屋から登校して
ホテルに連れ戻される
客がだんだん増えて
夜から明け方まで
ぼろぼろになるまで
搾り取られた
クスリの副作用で立たないのに
受け身の客には
男にバイアグラを飲まされて
無理やり固くさせられて
行為を果たす
眠らないように
男にアルコールを止められた
禁断症状で震える手
違う薬物でそれを
麻痺させられる
朝ホテルで眠ったまま起きず
学校に行けない日が増えて
ヤツがメールをしてくる
それに返信出来ない
何も書けない
僕はヤツの友情を裏切った
ヤツの捨て身の決心を
僕は受けとめることが
出来なかった
お願い
メールをしないで
もう見捨てて
それでもいつもメールを
確かめてる
兄からのメールかも
知れないから
そのうち2回3回と
同じ客が来るようになった
そんな常連が1人…2人と増え
しばらくしてその中で
毎日に近いほど
僕を買うようになった客がいた