ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「あ、それは大丈夫です」

「なんでリアちゃんにそんなこと言えるの」

「女の勘!? メイさんはヤギーダメですか?」

「……ダメとかじゃなくてさ。当分、彼氏はいらないっていうか」

「ヤダヤダ、メイさん! 元カレが忘れられない系!? ダメだよ、そんなんじゃ! 賞味期限切れちゃうよ!」

「……」


当たってるだけにずーんと落ち込む。

賞味期限、確かに切れちゃうかも。


黒縁眼鏡の奥で微笑む優しい瞳を思い出して、ギュッと胸が痛んだ。

優しい顔で、声色で、あの人は私に嘘をつく。


……忘れられない、とかじゃないけど。

傷ついたこと、傷つけられたことが昨日のことみたいに蘇ってきて痛いだけ。


もうちょっと傷が癒えてからでもいいんじゃないかって思う。





――芽生が何も言わないから、いいのかなって思って。




もう誰が悪いとか、私が悪いとか考えるだけで気持ちが滅入るんだよ。
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