ラッキービーンズ～ドン底から始まる恋～

そのままエレベーターへと向かう。

始業時間を過ぎてラッシュは終わってるからさっきまで混雑していたエレベーター前は今は誰もいなかった。


このまま席に戻ったらリアちゃんの報告を聞くんだろうな。

だけどいつまでも逃げているわけにはいかない。


ヨシ、と自分に気合いを入れて顔を上げた。


ちょうどエレベーターが上から降りてくる。

ポーンと音が鳴って開く扉をぼーっと見つめていた。


そしたら中に乗っていた水嶋とバッタリ出くわしてしまった。


「……」

「……」


向こうも面食らったみたいで少し驚いたように目を見開いた。


油断した、完全に。

まさか水嶋の方と顔を合わせるハメになるとは。


そういえばいつかもこんなことあった。

あのときは水嶋が普通に話しかけてきて私がビクビクして……。