ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
それなのに幸せを感じないのは何故だろう。


「第2倉庫の在庫チェックしてから上がってくれる?」


就業時間ギリギリに残業を押し付けられるのだっていつものことなのに。


「……分かりました」


何故か私の気持ちは晴れない。

チェック表を持ってのろのろと立ち上がると隣のリアちゃんが「ご愁傷さま~」と同情の目を向けてくれる。


この会社の第2倉庫は地下にある。

暗くて窓もない閉鎖的な空間の上、在庫チェックには膨大な時間がかかる。


誰もがやりたくないと思ってる作業のひとつだ。

だけど私には上手く断る理由を考える方が大変な気がするから、黙ってエレベーターに乗って地下へと向かった。


第2倉庫に入って電気を点けるとさっさと作業を開始する。

べつにお化けが出ると思ってるわけじゃないけど、地下室ってなんとなく怖い。


仕事だからそんなこと言ってられないけど。


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