ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
知らない相手じゃないとはいえ、酔った勢いでヤっちゃうだなんて。

ああ、日向芽生。一生の不覚。


「わ、私、なんか言った……?」

「なんかって?」


私の勢いが完全に削がれたのを感じ取ったのか、かけられる水嶋の声はさっきより優しい。

その声に同情が含まれてる気がして不安になる。


「その、愚痴とか……。身の上話とか……」


水嶋は多分私が婚約していたことを知らない。

だけど地元の友達の大半は知ってる。


招待状を送ったわけじゃなかったけれど、地元に帰ると高校時代の仲間で飲むのが定例だった私は意気揚々と婚約報告までしちゃってたんだ。

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