ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「いなくなったろ? 犬」

「え? ああ、うん。ある日突然いなくなっちゃったの。私としては親切な誰かが拾ってくれたんだと……」

「いるよ」

「ん?」

「あのときの犬。俺んちにいる」

「……ええっ!?」

「俺が拾った」


なんてことないように言って水嶋はエビの殻をむいてかぶりついた。

私は困惑して何を言っていいのか分からなかった。


「見に来る?」

「え?」

「かなりおじいちゃん犬になっちゃったけど。元気だよ」

「……うん」


地元には近づきたくない。

一瞬、そんな思いが頭をよぎったけれど私はうなずいていた。


「メメちゃんに会いたい……」

「名前つけてたのかよ。つーかオスだし」
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