ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「もうよせ、小西。みっともないぞ」


光浦さんが眉間にシワを寄せ小西さんを制した。

それは私のことを思って言ってくれているのではなく、面倒なことに巻き込まれたくないという表情だった。


それを見て塞がっていた傷口からまた新しい血が流れ出すのを感じた。

だから会いたくなかったのに。

未練とかじゃなくて。


自分がいかに愛されてないかを確認するのが怖かった。


「光浦もなんか言ったらいいじゃん。俺のがいい男だぞーとかさ」

「ほら、もう行くぞ」

「メイちゃんもなんか言うことあったらどうぞー。コイツのがエッチが上手いのよとか」

「……」

「なんで何も言わないの?」


――そんなんだから浮気されるんだよ。


小西さんの最後の台詞が頭の芯に響いて。

視界がぼやけたとき、隣に立っていた水嶋の影がさっと動いて次の瞬間には小西さんが吹っ飛んでいた。
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