ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
それから気まずい雰囲気のまま二人で電車に乗って帰った。

水嶋は不機嫌そうにしゃべらないし、私も黙ったままさっき見た光浦さんのことを考えていた。


私は見てしまった。

彼の薬指に輝く新しい指輪を。


結局、彼は違う彼女と婚約したということなんだろう。


なんだ、私の存在って。

分かってたけど思っていたよりもずっと軽い。


車窓から見える流れる景色は暗くて、早く家に帰って一人になりたいと思った。
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