ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
慈しむような仕草はまさに水嶋が言っていた「可愛がる」という感じで、まるで大切な宝物のように扱われている錯覚を起こした。

裸の胸を包み込むように水嶋の両手が覆う。

すでに熱を持った身体に大きな手のひらは少し冷たく感じた。


だけどそれが逆に神経を研ぎ澄ませるようで、敏感な部分に触れられるとすぐに声が出た。


同じ制服を着て同じ教室にいた男の子が。

大人の男性になって今は裸で抱き合っている。

それがやけに倒錯的な感じがして頭がぐるぐるした。


「ん……っ」

「なんで声我慢してんの?」


水嶋が笑いを含んだ声で耳元で囁く。

だって恥ずかしい。

相手が水嶋だから。余計に。


私がそう言うと水嶋は「確かに。なんかイケナイコトしてる気分だよな」と笑った。


イケナイコト、してるんだよ。

彼女がいるくせに。
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