ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「浮気なんかで人の娘に恥をかかせるような男とは二度と付き合うな」

「は、い……」

「もう行くのか」

「あ、友達と約束してて……」

「そのまま帰るのか?」

「うん……」

「気をつけて行きなさい」


――お前が悪いんだろう。


そう言ってたのは父さんだったのに。

その言葉が重く私を海の底に縛っていたのに。


私が恥をかいたって思ってくれてたの?

私だけが悪いんじゃないって思ってくれてたの?


ペコリ頭を下げて「行ってきます」と言って家を出た。

和解と呼ぶにはあまりにもアッサリとしすぎていて。


きっと、父さんの中ではたいした変化は起きていない。

でも私にはこれで十分だった。
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