ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
だけど変わりたいって思ったんだよ。


そう言おうと思ったときに誰かが叫んだ。


「おっ、水嶋! こっち、こっち」


その声につられて入り口の方を見ると、すでに何人かに囲まれた水嶋が笑いながら座敷へと上がってくるところだった。


今日はスーツを来ていない。

ライトグレーのセーターにデニムのラフなスタイル。


一瞬、目が合ってふっと微笑まれたような気がした。


一気に心拍数が上がって慌てて視線を外した。

これだけの人数が集まってるのだから水嶋本人が呼ばれていたってちっとも不思議はないのに、水嶋の彼女のことばかり気をとられていて本人が来る可能性なんてまるで考えていなかった。


一昨日、会社で会ったときは何も言わなかったのに。

水嶋も私がいることを予想外だと思っているのかもしれない。


それにしてもあの余裕はなんなんだろう。

もしかしたら彼女と遊び相手の私が同席してるかもしれないのに。


ああ、こういうドッキリ番組確かあったな。
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