ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
水嶋もあれぐらい焦れば可愛げがあるのに。

そんなことを思いながらチューハイを口に運んでいるとモモが私の袖を引っ張った。


「ねえねえ、水嶋かっこよくなったよね~」

「う、うん」


そんなこと知ってるよ……!


水嶋はそのまま彼が仲の良かったグループのテーブルに座った。

私との間にはテーブルひとつ。


騒がしいからよほど耳をすませないと向こうの会話は聞こえてこない。

それなのにモモと会話をしながら必死で耳を済ませる自分がいて、そんな自分に苦笑した。


まるで高校生の片想いみたいだなあって思って。


紹介されて出会って、始まりそうな恋に乗っかって。

最近はそういう恋愛しかしていなかったから、こういうのが新鮮に思う。


水嶋は色んな感情を私に思い出させてくれる。


「ねえ、ハヤタ。いい加減、私と付き合ってよ~」


ガボッ。

飲んでいたチューハイが勢いよく喉の奥に入り込んだ。
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