ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「ヒナは朝食わない派か?」

「……」


振り返ってニッと笑う水嶋の顔は確かに高校時代の面影があって、一瞬、あの頃の教室の風景がフラッシュバックした。


ヒナ、なんて。

昔の呼び名で呼ぶのやめてよ。


水嶋は昔から私のこと日向って呼んでたくせに。

私が水嶋と距離を取りたがってることに気づいて、わざと意地悪されてる気がした。


「……着替えるから出てって欲しい、です」


着替える、なんて。

今現在裸だから着替えるも何もないけど。


服を着たいなんて言うのが恥ずかしいのが26歳の乙女心。


「昨日見た」なんて意地悪を言われるかと思ったけれど、水嶋は「りょーかい」とだけ言って部屋を出て行った。
< 20 / 226 >

この作品をシェア

pagetop