ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「二股かけられてたの気づかなかったんだよね……」

「マジ!? それって遊び相手は自分の方だったってヤツ!?」


ズキン。

一番言われたくないひとことが胸に刺さった。


――婚約者として選ばれたのは私の方だった。


だから遊びは相手の方。

そうやって自分を慰めることが最後の砦だった。


だけど光浦さんの指には新しい指輪が光っていた。

それを認めるのが怖くて、考えないようにしていたけれど。


「うん。そう、かも……」


こんなところで泣くわけにはいかないから、無理やり微笑みを作って顔を上げた。


「ヒナ……」


モモの心配そうな顔と、周りの同情の視線が痛い。


「マジかー。ヒナみたいなタイプを弄ぶなんて許せんな!」

「ヒナ仕事も辞めちゃったんでしょ。今どうしてるの?」


情報通の女友達がさらに深く追求してくる。
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