ラッキービーンズ～ドン底から始まる恋～

私をおいて盛り上がるメンバーのやり取りをぼうっと見ていた。


「嘘!?　誰!?」


急に盛り上がった水嶋のテーブルにハッと意識を取り戻した。

そうだ、水嶋の彼女の話……！


あっちこっちと忙しくて頭がちっともついていかない。

急いでそっちに顔を向けると、すぐ目の前に誰かの足があって、ぶつけそうになった。


「わっ」


その足をたどって見上げると、いつの間にこっちに来ていたのか水嶋が立っていた。

私の真横でこっちを見下ろして、いたずらに笑っている。


「日向!?　嘘だろ、お前らいつの間に！」

「ちょっと聞いてないんだけどー！」


ぎゃあぎゃあと向こうのテーブルが一斉に盛り上がる。

何が起こったのか分からなくて呆然としていると、目の前にスッと水嶋の手が差し出された。


「え!?　何、何っ!?」


わけのわからないままその手を掴むとぐいっと引っ張られて立ち上がらされた。


「これが俺の彼女です」


キッパリと言い放たれる声をまるで他人ごとのように聞いていた。