ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「……昔から気になってたのは事実」

「え」

「だけど恋ってわけでもなかった」

「……」

「優等生でキッチリしてて。俺みたいのとは違うなーって思ってて」

「……うん」

「人前でいい子ぶってるだけかと思えば、誰も見てないところで犬にエサやってるし」

「……」

「そういう俺にとっては憧れに近かった存在のクラス委員長がさ」


水嶋から高校生の頃の自分の話を聞くのはくすぐったい。

そんな風に思っていてくれたなんて。

私は中身まで優等生なつもりはなかったけれどやっぱり嬉しかった。


「変な男にナンパされてるわけよ」

「うん」

「ふりきりゃいいのに、ぼーっと話聞いてるしどう見ても酔っ払ってるし」

「……うん」

「でほっとけなくて、男追い払って俺が引き取った」
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