ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「バカ、何やってんだよ」


水嶋が慌ててキッチンの方へ回り、タオルを取ってきて拭いてくれた。


「火傷してないか!?」


そのままタオルを持つ手は服に下りて、濡れていないか拭きながら確認された。


「だ、大丈夫」


水嶋が屈むようにするから、彼の黒い髪がふわふわと顔をくすぐる。


近い。


拭いてるのだって胸の辺りで、もちろんいやらしいことしてるわけじゃないけど手はしっかり当たってる。

だけど昨日してたことを思うと今さら文句も言えなくて、早く離れて欲しい思いで少しだけ後ずさった。


――胸がすごいドキドキしてる。


……やだ。

相手は水嶋なのに。


水嶋の態度が同性に接するかのように普通なのも、意識してるのが自分だけだと思い知らされて余計に居心地が悪くなった。

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