ラッキービーンズ～ドン底から始まる恋～

それは私にとっては気楽さを意味していて、食事に頭を切り替えて箸を割るとさっさとサラダを取り分けることに専念した。

リアちゃんは休戦モードらしく寄ってきた今林さんと表面上は笑顔でしゃべっている。


全員分取り分けないとサラダに手をつけるのに気が引けるから、いない人の分もせっせと小皿に盛り付けていると、いつのまにか隣の席に男の人が来ていて小皿を配るのを手伝ってくれた。


「新人さんだよね？　偉いね」


ブルーの水玉のネクタイが目に入って、横を見ると年下っぽい男性社員だった。

面識は多分ない。


「あ、はい。新しく派遣で入った日向です」


かなり明るい茶髪にパーマっ毛のある髪の毛。

自由な社風だなあと思った。


この間ナンパしてきた大学生となんら変わりないけれど、やっぱり話し方なんかはしっかりしていてデキる男のオーラを醸し出していた。

女の子はこういう人、皆好きだよね。


「ひなたちゃん？　俺、八木原っていうんだ。ヨロシクね」

「あ、日向っていうのは名前じゃなくて……」