ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
水嶋よりも後輩の八木原くんがずっと隣で話しかけてくれていたから、そういう意味では彼に救われたのかもしれない。

一人でポツンと孤立せずにすんだのだから。


だから解散間際に携帯の番号を交換しようと言われたときも、素直に応じてしまった。

断ったら飲み会の時間だけ利用したみたいで後味が悪いから。


男の人とは関わりたくないのに。

特に水嶋と同じ部署の人だなんて絶対に避けたい。


だけど私の人生はとことん思い通りにはいかなくて、逆にそれが私らしいって気さえしてきた。


「また飲み会しようね」

人懐っこい笑みを浮かべる八木原くんは最後まで私にタメ口で、私の方が年上なんだってことにたぶん気づいていない。


「水嶋さん、カラオケ行きましょうよ~」

飲み会の終盤には男性陣は皆揃ったけれど、リアちゃんはやっぱり水嶋がお気に入りらしく今度は2次会に誘ってた。


半分くらいはそのままカラオケに行くみたいだったけれど、私はなんとか帰宅組に紛れることに成功した。
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