ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「助けてくれて、ありがとう……」

「ああ」

「……」

「……」


気まずさに会話が続かない。


でもそれは自分のまいた種だから仕方なしに水嶋を置いてタクシーに乗り込むことにした。

行き先を告げていると、水嶋が当然のように後からタクシーに乗り込んできた。


え!?


乗るの!? って思ったけれど、これ以上失礼な態度を取るわけにもいかないから、口から出そうになった言葉をグッと飲み込んで彼の乗るスペースを空けた。



そうだよね、ここにいるってことは2次会はやめて帰るってことだもんね。

私を見つけてタクシーを相乗りしようって思ったのかもしれない。


それならそうとひとこと言ってくれればいいのに……。


タクシーが発車してしまってもまだ水嶋は口を開かない。

あまりの空気の重苦しさに、私は窓の方を向いてそっと息を吐き出した。

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