ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「狭くて申し訳ない……」


だけどそれは整理整頓していあるというだけで、建物自体は古いし広さなんて水嶋のマンションとは比べ物にならないほど狭い。

グラスにアイスティーを注ぐと小さな丸テーブルの上にそっと置いて自分もその前に座った。


その間水嶋は立ったまま珍しげに部屋を見回していたけれど、私が座ると向かい側に置いてあるベッドに腰掛けた。


「で?」


ベッドに後ろ手をついてふんぞり返るような姿勢を取りながら彼が口を開く。


「で? って……?」

「なんで避けたの?」


いきなり本題に入られてぐっと心臓を掴まれたように痛くなった。


「避けたっていうか……。同じ会社だと思ってなくてビックリしたっていうか……」

「電話番号」


曖昧に答えを避けようとする私に、さらに水嶋は切り込んでくる。
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