ラッキービーンズ~ドン底から始まる恋~
「ん……っ。はぁ……っ。なんで……」


まだ腕は掴まれたままで、吐息がかかりそうな距離に水嶋の顔がある。

その表情はやっぱり怒っているように見えて、私は強気に出ることができなかった。


突然キスなんかされて、怒ってもいい場面だとは思うんだけど。


「忘れてもいいよ? べつに」

「……え?」


パッと腕を離されて私はカーペットの上にへたり込んだ。

さっきのキスで力が抜けてる。

そのことに気づくと急激に恥ずかしくなって、顔の温度が上昇した。


それを見て水嶋が初めて微笑む。


「顔、真っ赤だけど?」

「……っ、なんで」
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