逢いたいキモチ

校門には「入学式」の文字。

父は慣れないスーツをなんとか着こなしてる。

私がネクタイやってあげたんだけどね。


母は病気で5年前に亡くなった。

それから私は、家ではお母さんのような存在。

おばあちゃんと二人三脚で家事をしている。


お父さんはデジカメを持ちつつ、

「未来〜!早く!こっち!」

私を校門の「入学式」の看板の横に誘導した。

「はいはい。今行くー。」

私は記念撮影よりも、

買ってもらったばかりの携帯と、

真新しい制服の方がテンションが上がった。


一応笑顔でハイ、チーズ。

お父さんは満足げだ。

全く、私よりお父さんの方がはしゃいでて、

ちょっと恥ずかしいよ。


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