恋するカフ・リンクス

「事あるごとに頭取の息子だからって。
そんな風に見られるのが嫌で企業派遣で留学してMBAの資格とって。
だから帰国後はいい役職にでもついてそこからスタートかと思ったんやけど…」

そこまで言って彼女は笑う。


「?…」


「彼の場合…自分から地方の支店からはじめてんよね。
ある程度現場で実績がほしいってとこやったんか知らんけど。
エライのかただのアホなのか」


そうなんだ。

彼はちゃんと自分なりに努力してきたんだ。

本当の自分を認めてもらうために。


それに比べてアタシは…。
ひねくれていじけてばっかり。


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