子育てパニック






[だからー、斗真の母親はあたしと同じ店で働いてたんだけど男と逃げちゃったんだよね。借金あったみたいでさー。いい子だったのに…女ってのは怖いねー(笑)]




「で?」



[あたし店休めないしさ、斗真の両親も親戚もいないし…んで、浮かんだのがあんただったの。合鍵持ってたから真夜中潜り込んだ。]




「で?」




[斗真預かって。一生じゃないよ?母親見つかるまでで大丈夫だから。]




「ふざけんなーっ!!!!」







今までずっと姉貴の我が儘我慢してきたけどこんな我が儘ありえないでしょ?





見ず知らずの子だよ?姉貴の友達とか知らねーし、しかも私大学生で子育てしたことなければ出産も結婚もまだだよ?







「ありえない。今からすぐに引き取りに来て!私には大学もあるんだからね?」



[何事も経験よ?いいじゃん、ケチ!]




「だったら姉貴が預かりなよ!」




[あんたNo.1キャバ嬢に仕事休めっての?]








私の姉貴は何事も経験がモットーのアクティブ人間だ。






小学校の時は、何事も経験と清掃活動やボランティアに積極的に参加したかと思えば小学生にして髪は金髪と弾けていた。





中学校の時は、何事も経験と生徒会に所属し応援団などにも積極的に参加したかと思えば町の不良と仲良くなって慕われていた。





高校の時は、何事も経験と運動部の助っ人などをしてスポーツマンだったと思えば彼氏は学校の先生だったりし飛び抜けていた。





そんな学生時代を過ごした姉貴は、証券会社に就職したのだが、落ち着くわけもなく旅に出たりしていた。





そして帰って来たと思えば、次はキャバ嬢になってしかも今やNo.1キャバ嬢だ。






姉貴には驚かされてばかりだが、今回ばかりは驚くを通りすぎた。







ぶっとびすぎだろ、姉貴よ。






< 3 / 57 >

この作品をシェア

pagetop