手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「海さんに制服を借りたの。これから、みんなでお祝いだって!」



「…“みんな”?」



「大沢家と、高梨家で」



…そういう事か。

これは、俺を誘き出す罠か。

卒業式が終わったにしては、周りに人は居ないし。

卒業式にこの格好で出るわけがない。



「海都に最初に見せたくて、自分で頑張ったんだよ」



メグの一声で、ため息を飲み込んだ。

…俺、に?

ツインテールも今日は下ろされて、茶色がかった髪が緩く巻かれてて。

唇には透明のグロス。

スカートは膝上15センチ位。

そして、ハイソックスではなく、ルーズソックス。
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